LEVEL 4 計算の基礎を固める 中級
Lesson 036

絶対参照について

練習用Excelファイル lesson036-practice.xlsx

練習用ファイルは、パソコンからダウンロードしてください。

絶対参照について

前回のレッスンの最後で、「B1(消費税率)だけはズレないでほしい」という場面に出くわしました。コピーしたら税率の参照までズレてしまい、結果が 0 になってしまう、あの困りどころです。

これを解決するのが、絶対参照 です。

このセルは絶対に動かない」と Excel に教えてあげる、参照のテクニックです。「常にこのセルを見にいく」と固定する設定だと考えてください。


絶対参照の書き方

セル番地の 行番号と列番号の前に「$(ドル記号)」 をつけます。

たとえば、

  • A1:相対参照
  • $A$1:絶対参照

ドル記号がついた部分は、コピーしてもズレません。 たったこれだけのルールです。

  • $A → A列を固定する
  • $1 → 1行目を固定する

という意味です。だからセルA1を絶対に動かさない設定が、$A$1 となります。


絶対参照の入力方法

では、簡単な計算式で見ていきましょう。

D2 に「=C2*(1+B1)」と入力します。いったん数式を確定します。

数式の確定
数式の確定

その後、セルD2で [F2] を押してください。数式の編集モードに入るショートカットキーです。セルD2をダブルクリックでも、同じ編集モードになります。

F2で編集モード
F2で編集モード

マウスカーソルを移動して、数式内の B1 をクリックします。教科書的には、Bと1の間にカーソルを置きます。

Bと1の間にカーソルを置く
Bと1の間にカーソルを置く

そして、[F4] を押してください。これで絶対参照のマークがつきます。

絶対参照がついた
絶対参照がついた

なお、編集モードを使わずに、該当セルをクリック後、数式バーで直接クリックして [F4] を叩いて $ を挿入することもできます。

慣れてきたら、数式バーから直接操作してくださいね。


$がついたセルは動かない

B1に $ を付けているのがポイントです。

:::excel
B1=0.1
C1=金額
D1=税込
C2=300
D2==C2(1+$B$1) -> 330
C3=1000
D3=
C4=500
D4=
:::

これを D3、D4 にコピーすると、こうなります。

:::excel
B1=0.1
C1=金額
D1=税込
C2=300
D2==C2*(1+$B$1) -> 330
C3=1000
D3==C3(1+$B$1) -> 1100
C4=500
D4==C4(1+$B$1) -> 550
:::

ここが前回との決定的な違いです。

  • C2 は相対参照なので、C3、C4 とズレる
  • $B$1 は絶対参照なので、ずっと B1 のまま固定

前回は B1 が B2、B3 とズレて結果が 0 になりました。

今回は $B$1 のおかげで、すべての商品に正しく消費税率10%を掛けた計算ができています。$ ひとつで、こんなに変わるんですね。


ドル記号の3パターン

ドル記号は「ここは固定」という印です。実は、付け方が3パターンあります。

  • $A$1:列も行も固定
  • $A1:列だけ固定(行はズレる)
  • A$1:行だけ固定(列はズレる)

今回学ぶ「絶対参照」は、列も行も固定する $A$1 です。

「列だけ固定」「行だけ固定」は、複合参照 と呼ばれ、次のレッスンで扱います。今は「$ が付いたところは動かない」とだけ、しっかり覚えてください。


ドル記号の入力方法

毎回「$」を手で入れるのは面倒です。ちゃんとショートカットがあります。

セルの参照部分(たとえば「A1」)にカーソルを置いた状態で、[F4] キー を押します。

押すたびに、参照方式が次のように切り替わります。

押す回数表示意味
1回目$A$1絶対参照(列も行も固定)
2回目A$1行のみ絶対
3回目$A1列のみ絶対
4回目A1相対参照(元に戻る)

このように、4種類の参照方式を トグル(循環) できます。

これは 絶対に手に覚えさせるべき ショートカットです。手入力で $ 記号を入力しないでくださいね。数式を編集中、参照にカーソルを合わせて [F4]。これが体に染み付くと、参照の操作が一気に速くなります。


ちょっとした実務シーン

社員10人の給与計算をします。

  • A2〜A11:社員名
  • B2〜B11:基本給
  • E1:賞与倍率「2.5」(賞与は基本給の2.5か月分)
  • C2〜C11:賞与額(ここを計算したい)

C2 に「=B2*$E$1」と入力します。

:::excel
A1=社員名
B1=基本給
C1=賞与額
E1=2.5
A2=田中
B2=300000
C2==B2$E$1 -> 750000
A3=鈴木
B3=280000
C3==B3$E$1 -> 700000
A4=佐藤
B4=320000
C4==B4$E$1 -> 800000
:::

社員ごとに基本給(B2、B3、B4)の参照は変わりつつ、賞与倍率($E$1)は常に固定されています。

ここがポイントなのですが、賞与倍率を E1 に「2.5」と書いておくと、ここを「3.0」に変えるだけで、全員の賞与額が一瞬で再計算 されます。

:::excel
A1=社員名
B1=基本給
C1=賞与額
E1=3.0
A2=田中
B2=300000
C2==B2$E$1 -> 900000
A3=鈴木
B3=280000
C3==B3$E$1 -> 840000
A4=佐藤
B4=320000
C4==B4$E$1 -> 960000
:::

E1を 2.5 から 3.0 に変えただけで、全員の賞与額が変わりました。数式は一切触っていません。

これが「シミュレーション」の発想です。「もし倍率が3.0だったら?」を一瞬で試せる。Excelの真の強みであり、絶対参照があってこそ実現できる使い方です。


絶対参照を覚えると、関数が自由になる

ここから先に学ぶ関数(VLOOKUP、SUMIF、INDEX/MATCH など)では、絶対参照を使わないと正しく動かない ケースが頻発します。

範囲を絶対参照で固定する」というのが、ほぼお約束です。

逆に言うと、相対参照と絶対参照の使い分けができれば、ほとんどの関数の挙動が予測できる ようになります。ここは関数を学ぶうえでの土台なので、急がず手を動かしてなじませてください。


よくあるミス

絶対参照を忘れて、数式をコピーしたら結果がおかしくなった、というのは Excelあるある です。

コピーしたら、なんか結果がズレてる」と感じたら、まず数式を見直して、

  • 固定したいセルに、ドル記号がついているか
  • 意図しないセルに、ドル記号がついていないか

を確認してください。前回学んだ「相対参照のズレ」と、今回の「絶対参照の固定」。この2つが頭の中で整理できていれば、原因はすぐ見つかります。


まとめ

  • 絶対参照は、「ここは固定」という参照方式
  • 列と行の前に $ を付ける(例:$A$1)
  • セル参照にカーソルを置いて [F4] で参照方式を切り替え
  • 数式をコピーするとき、ズレてほしくないセル を絶対参照に
  • E1の値を変えるだけで全体が再計算 = シミュレーションの発想
  • 関数を使いこなすには、必須の知識

次回は、$A1A$1 のように「片方だけ固定」する 複合参照 です!


ショートカット

  • セルの編集:[F2]
  • 参照方式の切り替え:[F4](数式編集中)
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